悪戯好きなのは、何も妖精だけじゃないんです。











「はぅ〜・・・また欠点だったよぅ・・・。」








可愛らしい羽根をパタパタさせながら、フラフラと移動する、見た目は10歳前後の愛らしい少女は、
『可愛らしい羽根』を持っている時点で、その少女は人間ではないのだが。








「はぁ?お前、また欠点取ったのか???・・・向いてないんじゃねーの??」






「!!!?ルーくん!!!!?」





「ルーくん言うな。」






「・・・イタッ!!!」







パシッと。少女の背後から頭を叩いた、これまた可愛らしい羽根を優雅に羽ばたかせる、少女と同じ
くらいの年頃の少年が、意地悪そうな顔を浮かべていて・・・。











「何時までもそんな情けない呼び方すんな。俺様には『ルシフェル』ってかっこいい名前があるんだ
からな?本当なら様付けで呼ばさせるんだが、幼馴染の縁だ。呼び捨てで構わないっていつも言って
るだろ?」








「はぅ〜・・・だってルーくんはルーくんだし・・・。」








そう、困ったような表情を浮かべる少女に、ルシフェル、と言うらしい少年は呆れたような溜息を吐
いた。








「ガブリエル。お前、そんなだから『キューピッド』の勉強、ついてけなんだよ。諦めて俺様と同じ
『大天使』を目指せばいいだろう?」





お前に恋愛を司る『キューピッド』なんぞ向いてねぇんだから。







そう言い切るルシフェルに、ガブリエルと呼ばれた少女はうっと言葉を詰まらせると、うるうると瞳
を潤ませて・・・。








「ひ・・・酷いよ、ルーくん・・・私だって・・・わたしだって・・・やれば出来るんだからぁ!!!!」







「!!!?ちょ・・・ガブリエル!!!!!?」







そう叫んだ少女は涙ながらに呼び出した『(ゲート)』を開いて・・・。慌てた少年の声には耳を傾けず、その『扉』
を潜っていく。そして・・・









「・・・ったく・・・相変らず考えなしで動くヤツ・・・。・・・しょーがねぇなぁ・・・。」







そう面倒くさそうな声をあげるものの、少年の表情は心配そうな色を浮かべていて・・・







「・・・頼むから、無茶起こすなよ?」








自分の所為だとはわかっているものの、少年はそう祈らずにはいられない。






少女が呼び出したのと同じように、『扉』を呼び出した少年は、そのまま少女と同じように『扉』を
潜っていった。












 

 

 












 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

恋のからさわぎ























 

 















「・・・ルーくんったら、なんでいつも私に意地悪なんだろう。」









『扉』を潜り、やってきたのは、『羽根を持たない者たちの世界』、つまりは人間界で。ガブリエル
はぶつぶつと、幼馴染への不満を口に、上空を羽ばたいていた。










「・・・私だって、やれば出来るんだもん。」







そう、自分に言い聞かせるように呟いたガブリエルの耳に、甲高い少女の声が聞こえてきた。











「ちょっと!!!見てないで手伝いなさいよ、和麻!!!!!!」







「!!!!!?」







「だから、いつも言ってるだろう?危なくなったらちゃんと助けてやるって。」









それまで一人で頑張れ。







そう言ってすっと安全地帯へと避難する男性に、炎の剣を携えた少女は男性への怒りで、更に激しい
炎を呼び出していて・・・。









「んのォ・・・
給料ドロボウ!!!!!!!!







腹の底から響く少女の叫び声と共に放たれた炎は、それまで気づかなかった黒い影を跡形も残らぬほ
ど焼き尽くそうとしていて・・・。








(・・・凄い・・・)







それは、天使である少女の目から見ても壮絶且つ壮麗で・・・。









「・・・・・・ご苦労さん、綾乃。」








大技を出した後の、ぜぇはぁと。荒い息を繰り返す少女に男性はニヤリと笑いながら「この調子で
これからもよろしく。」とそう言いきって、ピキっと、少女の収まらぬ怒りに油を注いだ。








「ふざけんなぁ!!!!!!!!」







ごぅっと再び炎を燃え上がらせた少女に男性はさも楽しそうに少女の攻撃を躱していて・・・











(あ・・・もしかして・・・あのお二人・・・。)










遠目ながらも、その光景は一言で言えば『異様』なのだが、少女の目にはそれが『戯れ』にも似
た一種の『愛情表現』に思えて・・・(強ち間違いではないのだが)









「あ、そう言えば私の追試・・・。」









ふと、我に返ったガブリエルは上官に言い渡された追試内容を思い返して・・・。











(よし。決めたっ!)









決意を秘めた瞳を、未だ戯れ続ける少女と男性へと向けた。



























































(・・・・・・また変なのが出てきたな・・・。)







綾乃の攻撃を躱しながら確実にその気配を捉えていた和麻は内心面倒くさそうに溜息を吐いた。










(・・・妖精の次は天使、か・・・ま、害はなさそうだが・・・)









「ちょっと、和麻!!考え事とは余裕じゃない!!!?」







「まぁな?」






「!!!!!?」








ひょいっと、綾乃が振るう炎雷覇を僅かな動きで躱せば、綾乃はそれはそれは悔しそうな表情を
浮かべて・・・そんな綾乃に和麻はふっと口元を緩ませれば。不意にぽんぽんと綾乃の頭を撫でた。








「ま、その辺にしとけ。明日に響くぞ?」






「・・・そうさせてんのは一体誰だと思ってんのよっ。」






「さぁ?」







相変らずの和麻の飄々とした態度に、綾乃はもう抵抗する力をなくしがっくりと肩を落とした。








「・・・はぁ・・・。」






「溜息吐くと幸せ逃げるぞ?」






「だからっ!誰がそうさせてると思ってんのよ・・・。」







むぅっと。頬を膨らませる綾乃はキッと和麻を睨みあげるが効果はない。








・・・相変らず、色気がないというか何と言うか・・・。








そうさせているのは自分自身だと自覚があるだけに和麻は苦笑するしかない。








で・・・アレはどう出てくるつもりだろうな?








ふと、意識を上空の存在へと向けた和麻は、風を通してそれの出方を待つ。今のところ害はな
いと判断しているが・・・経験上。そういう類の存在は気のせいでしたで終わってくれない。そう、
これは『絶対』なのだ。










「・・・・・・和麻?」








ふと、黙り込んだ和麻を不審がった綾乃は首を傾げつつ和麻を除き見たのだが。









「綾乃。」






「へ?」






「上目遣いってのはな?若干目を潤ませつつ、困った表情でやるのがいいんだぞ?」








つまり、お前のようにガン飛ばすのは色気がない証拠だ。







ふっと鼻で笑った和麻に、綾乃は一瞬呆気の取られたのだが・・・。









「なっ・・・誰がアンタなんかにやるかぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!」









さらりと失礼な発言をする和麻に、綾乃は再び・・・キレた。















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