素直になれない女の子には、キューピッドの愛の矢を。









「と、いうわけで・・・・。」






すっと、ガブリエルが取り出したのは可愛らしい弓矢で、矢じりはもちろん、例によって例の如くハート型。








「素直になれない、恋する乙女に、キューピッドの勇気の祝福を!」







そう、可愛らしく唱えたガブリエルは方瞳を閉じ、狙いを定めて・・・。









「いっけぇぇぇっ!!!!!」










ピンっと張り詰めた弦から手を離せば、矢は綺麗な軌道で目標へと向っていく。が・・・









「あ・・・あれ???あれれ????」







目標に近付いた瞬間、その矢は突然進路を変えて・・・









ぷすりと。別の人間に命中する。何かの間違いだと、もう一度矢を放つが、結果は同じで・・・。








「ど・・・どぉしてぇ!!!?」







「ガブリエル、お前バカだろ。」






「!!!!?」









再び背後から聞こえた声にガブリエルはビクッと身体を震わせれば。「気づいてなかったのかよ。」と呆れ
たような声と溜息が聞こえて・・・







「る・・・ルーくん??」






「あの男。風の精霊操ってる。確か人間界じゃ『風術師』って言うんだったか?」






しかも相当な使い手だな。







そう分析するルシフェルに、ガブリエルは「はぅ〜」っと項垂れた。








「風の精霊さんが私の追試の邪魔をするぅ〜・・・」






「別に精霊だって好きでお前の邪魔してるわけじゃねぇだろ。つーか、何であんな厄介そうなのに目を付け
るかなぁ、お前は。」








俺はお前のその無謀さが理解できねぇ。







そう言い放ったルシフェルに、ガブリエルはしゅんとしながらも、「だって・・・」と言葉を紡いだ。









「だって・・・あの二人・・・素直じゃないんだもん。」






「・・・はぁ?」





「だってだって、あんなに想いあっているのに、あんな態度しか取れないなんて・・・可哀想じゃない!」







恋って素敵なんだよ??キラキラしてるんだよ??恋するだけで幸せになれるものなんだよ!!?







そう力説し始めるガブリエルに、ルシフェルはうんざりした表情を浮かべ例の、男女のペアへと指を指した。







「ツッコミで炎の剣を平気で振り下ろす女があの男に恋してると??しかも、その怒りを煽るような、まる
で玩具で遊ぶような感覚で女をあしらうあの男が恋をしていると???」






「間違いないんだもん!」






やっぱりお前、キューピッド向いてねぇんじゃね?と、そう言いたげなルシフェルにガブリエルは力強く、
彼の言葉を否定した。







「あぁやって女の子の怒りを煽るのは、女の子の反応を楽しんでいるってことで、それなりに気に入って
るってことで、それってつまりは恋してるってことで・・・」







「ちょっと待て、ガブリエル!それ、ちょっと違わないか??」






なんで気に入っている=恋しているって図式になるんだよと。そう呻くルシフェルに、ガブリエルは「
だって、だって・・・」と困惑するだけで・・・







「うぅ・・・言葉では説明できないけど、でもでも、そういうことなの!!!!」







それで、あの女の子も。暴力で訴えかけてるのは素直になれないからで、でもちゃんとあの男の人の事
想ってるのぉ!!!!








キッパリ言い切るガブリエルに、ルシフェルは本格的に頭を抱え込んで・・・








(つーか、他人の恋愛事情には怖いほど鋭いのに、なんで自分の事に関しては鈍感なんだ?)








今、まさに彼らの関係が綾乃と和麻のような関係だというのに。当のガブリエルは気づきもしないのだ
から、ルシフェルとしては泣き言の一つも言いたくなって当然なのである。が・・・









「じゃあ、そこまで言うんなら証明して見せろよ。」






「!!!?」






キッと、挑むような鋭い視線をガブリエルに投げかけたルシフェルはすっとガブリエルの持つ弓矢へと
指さして・・・







「俺がサポートしてやるからその矢、どっちかにちゃんと命中させろ。」






それでもし結ばれるような結果になればお前の勝ち。そうならなかった俺の勝ち。






「・・・当然、俺様が勝ったらガブリエル、お前、キューピッドを目指すの諦めろよ?」






「なっ!!?」





「当然だろう?恋する人間を見極められなかったっていうキューピッドとしては致命的な欠陥を持って
るって事になるんだ。向いてないどころの話じゃないだろうが。」






そんなルシフェルの言葉に、ガブリエルの心は痛みを訴えたが、ガブリエルとて多少なりと勉強して培
った直感を、今此処で否定するわけにはいかない。







「・・・いいわよ。でも、私が勝ったら、ルーくん、二度と私の事に口出ししないでよね!!」






「望むところだ。」







売り言葉に買い言葉で。ピリピリとした雰囲気を生み出した二人はふんっと、お互いに顔を背けあって。
けれど・・・








「・・・いいか、チャンスは一度きりだ。」






「・・・うん。」






「・・・準備はいいか?」








淡々と言葉を交わす二人だけれど、その二人の行動は流石は幼馴染と言ったところか、次に出る行動を
予測しあっていて。ガブリエルはしっかりと弓矢を手にし、ルシフェルは意識を集中させ、『奇跡』を
起こすための準備に入っている。








「・・・うん。・・・・・・素直になれない、恋する乙女に、キューピッドの勇気の祝福を!」







再び強い言葉と共に放たれた矢に、ルシフェルはそっと瞳を細めて・・・







(・・・・・・行け!)







その内なる言葉だけで、いとも容易く風の結界を通過した矢は見事に的に命中して・・・。









その直後。二人に強風が襲いかかってきた。


























































「・・・・・・ねぇ、なんか・・・変じゃない???」








仕事も終わり、今日は何を奢らせようかなぁと考えていた綾乃だったが、ふと感じる違和感に思わず怪
訝そうな表情を浮かべた。








「・・・何がだ?」






「何がって・・・それは・・・わかんないけど・・・でも・・・」







そう口篭りながら綾乃はふと視線を辺りに彷徨わせれば。明らかにさっきとは異なる雰囲気を醸し出す
カップルがいて・・・ただでさえ、目のやり場に困るというのに更に大胆な行動に出られているから、そう
言うものに全く免疫のない綾乃にとっては困惑するしかなくて・・・。








(・・・そうか・・・あの天使、所謂『キューピッド』ってやつなのか・・・)







一方の和麻は、冷静にその存在について分析していた。






様子見、ということで、一応飛び道具を出してきた辺りで警戒はしていたが、消す事無く方向転換させ
た甲斐はあったのかどうか、それは和麻のみぞ知ることなのだが、しかし、和麻はしっかりと口元を歪
めているあたり、結構楽しんでいるというのが本音なのかもしれない。(事実、異変に気づいた綾乃が
困惑している姿はまるで小動物のようでそれはそれは和麻の心を擽らせているのだが。)







「・・・なんだ?羨ましいのか???」






「なっ!?べ・・・別にそんなんじゃ・・・!!!!!」






「あーはいはい。そう否定しなくても気持ちはよぉくわかるぞ?お前、あんな風に扱われたことないも
んなぁ?そりゃ羨ましく思うわなぁ???」







「だから違うって言ってんでしょ!!!?」








そう頬を赤らめて否定する綾乃だが、その行動は肯定しているとしか思えなくて・・・。








「そうやって怒鳴り散らすから男が寄り付かないんだよ。」






「だから、誰の所為だと思ってんのよ!」






全くもう・・・







完全に綾乃の機嫌を損ねてしまった和麻は、さてどうするかと一瞬考えたのだが・・・








「!!!!?」







がばっと、大きく空を仰いだ和麻に、綾乃は驚いて和麻を見た。







「なっ・・・どうしたのよ、和麻?いきな・・・り・・・・?」






「綾乃!!!?」







様子の可笑しい綾乃を振り返った和麻が目にしたのは、しっかりと綾乃の胸に刺さる矢で・・・








「あ・・・れ?どう・・・したんだろ・・・体が・・・熱い・・・。」







「綾乃っ!?」






その矢は、綾乃の身体を傷つけているわけではないが、明らかに綾乃に異変を齎していて・・・






すぅっと綾乃の身体に溶け込んでいくそれ。






それと同時に、熱を訴える綾乃・・・。










(・・・どうなってやがる!!)








風の精霊は和麻に忠実だ。3度目の攻撃。同じように阻止できる自信はあった。なのに・・・







当然その軌道に乗っていた矢が突如消え、気づいたときは風の結界を通り抜け綾乃に命中していた。







どんなからくりを使ったのはわからない。だが・・・









「きゃぁぁぁぁぁっ!!!!」






「くっ・・・ガブリエルッ!!!!!」









上空で、荒れ狂う風たちの攻撃を受けながらも、まだ、そこに存在しているものたちに、和麻は冷たい視線を
投げかけ・・・・・・







熱に苦しむ綾乃を抱きかかえると、元々そんなに人気のなかったその場から風を使って浮かび上がると、問題
の存在へと向かって一直線に飛んだ。




















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オリキャラ天使たち、出張ってます。(笑)